EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(93)

さい帯血移植とICUとの関連

 さい帯血移植と集中治療室(ICU)入室との関係を明らかにした報告。さい帯血が造血細胞移植の新たな細胞源として認知されてきていますが、ICU入室後の移植後経過の報告はありません。そこで、1998年から2003年までにさい帯血移植を受けた44名について解析しています。 57%に相当する25名がICUへ入室し、その死亡率は72%でした。 ICU入室時の原因は肺炎が13例と最多で12がICU内で死亡しています。 基礎疾患は以下のとおり。寛解期の移植は22例、50%。移植細胞数が2.1×107/Kg以下が22例。 ICU入室の危険因子は前処置が骨髄非破壊的前処置であることです。 ICU入室を阻止する要因としては移植さい帯血細胞数が多いこと。



コメント:初期のさい帯血移植の成績として評価。研究後半では多めのさい帯血細胞数を移植に用いているため、ICU入室例は有意に減少。しかし、基礎疾患を急性骨髄性白血病に限定すれば、非寛解期移植でもEBM83(高橋聡ら)に示すように生存率が51.8%と高い報告もあります。

1.Naeem N. et al. Outcome of adult umbilical cord blood transplant patients admitted to a medical intensive care unit. Bone Marrow Transplant 2006; 38:733-738.