今月のEBM,ナウ(39)
サリドマイドと自家移植
目的:多発性骨髄腫の標準治療(コントロ−ル群)とサリドマイドを追加した(サリドマイド群)2群間で生存率について検討した。方法:新規診断例の668例を2群に分け、治療後に自家移植まで施行。primary
end pointとして5年の無イベント生存率、secondary end pointとして寛解率と全生存率を求めた。結果:42ヵ月の追跡中央値で、サリドマイド群の寛解率は62%、コントロ−ル群は43%、(p<0.001)。5年無イベント生存率は56%と44%(p=0.01)。5年全生存率は両群とも約65%。再発後の生存中央値はサリドマイド群1.1年とコントロ−ル群2.7年(p=0.001)。末梢神経障害と深部静脈血栓がサリドマイド群に多い。
結論:サリドマイド追加により寛解率が改善する。しかし、全生存率は改善されない。
コメント:サリドマイドを併用し、その後の自家移植でも全生存率が改善しない。次のステップでは安全性が確保されるなら、ミニ移植での検討が必要と考えられる。
文献 Barlogie B et al. Thalidomide and hematopoietic cell transplantation
for multiple myeloma. N Engl J Med 2006; 354:1021-30. |