EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(319)

-Haploidentical HSCT in childhood ALL-
(EBMTからの報告)

目的:
  16歳以下、急性リンパ性白血病(ALL)に対してHLA半合致移植施行。 移植の予後因子を多変量解析で検討した。

対象:
  36施設からの10年間の検討である。 ALL127例の移植成績はEBMTにて管理、解析した。 年齢の中央値は8.7歳。 ドナーは父親51例、母親44例そして兄弟が7例でその年齢中央値は36歳。 参加施設の同種移植例数の中央値は231例。

評価方法:
  5年NRM(非再発死亡率)、RI(再発頻度)そしてLFS%(無白血病生存率)。

結果:
  初回寛解期移植22例、第2寛解期48例、第3寛解期32例。 非寛解期移植25例の5年生存率はそれぞれ30%、34%、22%そして0%であった。 そこで、下図のように寛解期移植102例を解析した。 5年NRMは37%、RI36%そしてLFSは27%。



輸注したCD34陽性細胞数が多く、寛解期移植であればLFSが良い傾向があった。 多変量解析によると、LFS%とRIの減少がみられたのは、10年間での総移植数が231例以上の施設であった。

考察:移植施設の規模が移植成績を左右する。

コメント:EBM7(Blood. 2005;105: 2979-2987.)でも同様の報告があった。

 Klingebiel T et al. Results and factors influencing outcome after fully haploidentical hematopoietic stem cell transplantation in children with very high-risk acute lymphoblastic leukemia: impact of center size: an analysis on behalf of the Acute Leukemia and Pediatric Disease Working Parties of the European Blood and Marrow Transplant group.Blood.2010;115:3437-3446