EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(315)

-Alemtuzumab for treatment of steroid-refractory acute GVHD-
(CD52抗体使用による急性GVHDⅢ-Ⅳ度の治療)

重症急性GVHDの標準治療は大量ステロイド療法である。 ステロイド不応例への次治療法の開発が待たれている。 この報告はCD52抗体(Alemtuzumab)投与の有効性と安全性を検証したもの。

対象:13歳から68歳の急性GVHD3度から4度の18例。 全例がステロイド不応例。

GVHDの標的臓器は皮膚、腸管、肝臓。

結果:追跡期間の中央値9ヶ月で18例中、6例が生存。 死亡の12例中、9例が感染症による死亡、3例はGVHD死亡。 CD52投与後に全例が感染を合併、CMV再活性化は10例にみられたがCMV病にまで進展した例はいない。 興味深いことに感染合併症を避けるため、最初の3例、次の9例さらに最後の6例とCD52抗体投与量を減じていっても有効性に差はみられなかった。

考按:ステロイド不応の難治例にも拘らず、CD52を2週間毎、少量投与例は重度GVHDに有効であった。

コメント:CD52抗体は移植前処置のみならず、重度GVHDに対しても有効。

文献:Schub N et al. Therapy of steroid-refractory acute GVHD with CD52 antibody alemtuzumab is effective. Bone Marrow Transplant 2010;Advance online publication.