EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(313)

-Donor-derived cells in hair of recipients after allo-HSCT-
(移植後の毛根DNAの由来は?)

目 的:造血細胞移植後のレシピエント血液、頬粘膜そして毛根のDNA解析。
    「毛根にドナー細胞由来のDNAが存在するか?」について10例の検証。

対 象:男性ドナーから移植後の女性レシピエント毛根などをDNA解析した。

方 法: ①sex-determining region Yを検出する方法 (SRY)と②fluorescent-based  PCRのY染色体特異的解析(Y-STR)の高感度DNA解析方法を用いた。

結 果:
ドナー細胞の比率(%) ドナー細胞の比率(%) ドナー細胞の比率(%)
DNA解析方法 SRY/Y-STR SRY/Y-STR SRY/Y-STR
年齢/診断/移植後日数 血  液 頬 粘 膜 毛  根
29/AML/218日 100/100 45/100 0/100
24/BAL/329日 100/100 22/100 0/100
28/CML/516日 100/100 67/100 0/100
48/ALL/603日 100/100 54/100 0/100
48/AML/607日 100/100 53/100 0/100
28/CML/2738日 100/100 20/100 0/100
53/AML/103日 100/100 0/100 0/100
51/AML/781日 100/100 0/100 0/100
22/ML/2291日 100/100 0/100 0/100
51/AML/2764日 100/100 0/100 0/100

BAL;biphenotypic acute leukemia, ML;malignant lmphoma

考察:Y-STR法ではドナ−由来細胞が毛根に存在する事が証明された。
    ところがSRYでは陰性。毛根は犯罪捜査の材料としては不適である。


コメント:sex−mismatch移植後のキメリズム解析に高感度のY-STR法は有用。

文献1. Jacewicz R et al. Donor-derived DNA in hair follicles of recipients after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation. Bone Marrow Transplant 2010;Advance online publication.