EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(309)

-Allografting for myelofibrosis: an analysis from the BSBMT-
(骨髄線維症への造血細胞移植)

 イギリスの19施設で1989年から2005年に施行された造血細胞移植成績。

 PMF(原発性骨髄線維症)51例に対する後方視的検討。

目 的:骨髄破壊的前処置(MA)27例と骨髄非破壊的前処置(RIC)24例との比較。

対 象:過去の報告との違いはRICではATGまたはAlemtuzumabを用いてT細胞除去を行っている事。 血縁者間移植33例、非血縁者間移植(MUD)18例。

結 果:以下の2群間比較では年齢や移植までの期間に統計学的有意差があるが、100日以内早期死亡やPFS(progression free survival)、NRM(non-repalse mortality)は2群間で有意差はない。 Dupriez 病期分類による群間の差もない。

MA
27例
RIC
24例
年齢中央値 38歳 54歳
診断から移植まで
(中央値 ヶ月)
9.2 54.0
100日以内死亡 26% 21%
3年PFS% 44% 24%
2年NRM% 41% 32%
再発率 15% 46%

考察: PMFに対しては造血細胞移植が治癒を期待できる選択肢である。
    症例数も少ないため、今後は多施設での前方視的検討が必要。


コメント:今回の検討は20年間におよぶ貴重な検討。 RICの症例蓄積を期待する

文献:Stewart WA et al.The role of allogeneic SCT in primary myelofibrosis: a British Society for Blood and Marrow Transplantation study. Bone Marrow Transplant 2010;Advance online publication.