EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(302)

-GVHD prophylaxis with low-dose alemtuzumab in allo-SCT-
(移植後に低用量アレムツズマブを投与)

同種造血細胞移植(allo-HCT)後の重要なテーマは以下の二つである。
 ①急性移植片対宿主病(aGVHD)の予防
 ②移植片対白血病/リンパ腫(GVL)効果を維持
アレムツズマブは「Campath in the bag」という形でin vitro使用で始まったが、
1997年からはミニ移植前処置としてin vivo使用が増えている。
目的:CD52抗体(アレムツズマブ、Campath-1)を低濃度で使用。
対象:年齢の中央値は63歳。表の3群で比較した。
結果:
表1.急性GVHDⅡ~Ⅳ頻度
アレムツズマブ投与量 40mg 20mg 10mg
非血縁者間移植(69例) 27% 34% 28%
兄弟間移植(58例) 0% 16% 10%

表2.. アレムツズマブ投与量による3群間比較
アレムツズマブ投与量 40mg 20mg 10mg
症例数 30 48 49
実施年度 2003~2005 2005~2006 2006~2007
急性GVHD(Ⅱ~Ⅳ) 7% 29% 21%
慢性GVHD 44% 38% 37%
累積再発率% 42 42 43
非再発死亡率(2年)% 35 20 26
全生存率(2年)% 50 58 57

考察:GVHD予防に使用するシクロスポリンンとの併用薬剤としてアレムツズマブ投与量を減量したが、その結果、表1に示すように非血縁者間での有用性を認めた。

コメント:GVHD頻度と再発との微妙な関係が今後も重要。

文献:Bertz H et al.A novel GVHD-prophylaxis with low-dose alemtuzumab in allogeneic sibling or unrelated donor hematopoetic cell transplantation: the feasibility of deescalation. Biol Blood Marrow Transplant. 2009 ;15:1563-70.