EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。 |
今週のEBM,ナウ(294) -Disorders of glucose homeostasis following TBI in childhood- (TBI後の耐糖能異常) 小児では造血細胞移植(HSCT)を受けた後にインスリン抵抗性糖尿病やメタボリック症候群が問題となっている。 対象:Memorial Sloan-Kettering Cancer Centerの長期観察外来の10症例。 平均年齢13歳でHSCTを受けた糖尿病の既往のない男性6例、女性4例。 解析時の年齢が平均24歳。 結果:10名中5名はBMI>25で、腹部脂肪が増加。 移植前のTBIは分割照射。 性ホルモン治療を6例が受けており、成長ホルモン治療を過去に受けたのは3例、甲状腺機能低下症が1例。 HOMA,QUICKI指数によりインスリン抵抗性と判断したのは5例。 その5例はIGF-1=insulin-like growth factor-1低値(4例)、CRP増加(2例)、アデイポネクチン低下(2例)、HDL−cholesterol低下(1例)を来していた。 考察:機序として、移植後の糖代謝異常はインスリン抵抗性によるもの。 それはBMI増加と腹部型肥満を伴う。 今回のpilot studyでは移植後の成長ホルモン欠乏がインスリン抵抗性をもたらすと予想。 コメント:貴重な長期観察例の報告。生活の質を高めるために今後の研究が必要。 文献:Chemaitilly W et al. Disorders of glucose homeostasis in young adults treated with total body irradiation during childhood: a pilot study. Bone Marrow Transplant 2009; 44: 339-343 |