EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(293)

-Allografting for renal cancer-

(転移性腎細胞がんへのミニ移植長期成績)

転移性腎細胞がん(RCC)にミニ移植を施行し、長期間の観察を行った。 通常の抗がん剤治療に抵抗性のRCCでは、治療内容に関係なくその後の生存期間は5ヶ月から12か月とされる。

対象:単一施設にて1999年から2005年の間にミニ移植施行した25例。 年齢の中央値は53歳。 ドナ-はHLA 一致の兄弟。 病理所見はclear-cell typeが24例、1例はpapillary。 全例が腎臓摘出後かつサイトカイン不応例の転移性RCC。

結果:診断から移植までの中央値は822日。 1年生存率48%、5年生存率は20%。 65ヶ月間の観察期間中央値で5例が生存中。 1例は完全緩解、2例は部分緩解そして2例はstable disease。
多変量解析によると生存率と相関があるのはCRP値、輸注CD34陽性細胞数そして移植後90日目の病期であった。

           MSKCC予後分類(文献、Table 1)
予後分類

症例数

生存中央日数

生存率

良好/中間群

20

415日

25%

不良群

71日

0%

           MSKCC;Memorial Sloan Kettering Cancer Centre

考察:サイトカイン療法抵抗性RCCの一部では、同種移植により長期間の疾患コントロ-ルが可能。 今後は分子標的薬との併用も有用か

コメント:Childsらの続報(10%)よりもやや良好な生存率。

文献:Bregni M et al. Long-term follow-up of metastatic renal cancer patients.
    undergoing reduced-intensity allografting. Bone Marrow Transplant
    2009; 44: 237-242