EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(291)

-Allogeneic transplant for myelofibrosis-

(骨髄線維症の移植予後)

 Primary myelofibrosis(原発性骨髄線維症:PMF)に対する造血細胞移植の生命予後を多変量解析によって判定した。

対象:1994年から2007年の間にミニ移植を受けたPMF46例の年齢中央値は51歳。 生存例の追跡期間中央値は3.8年。 移植予後不良因子として以下の項目を1としてスコア化した。 
 (1)赤血球輸血回数>20
 (2)脾腫>22cm
 (3)HLA 一致兄弟ドナ-がいない事。
High risk群は22例でそのスコアは2以上。 Low risk群のスコアは0−1で24例。

結果:46例の5年予想生存率は45%、high risk群が8%、low risk群では77%。
    TRMは24%、RRDが26%。

Low risk群

High risk群

年齢の中央値

51歳

52歳

Relapse related death   (RRD:再発関連死亡)

12%

41%

Transplant related mortality(TRM:移植関連死亡)

8%

41%

生存例%

79%

18%


(文献中のTable 3から抜粋引用)

考察:移植前の因子を基に予後を解析した。 脾腫の程度が軽ければTRM が低く、輸血回数が少なければ、RRDが少ない傾向であった。 High risk群の移植方法はさらに改善の余地がある。

コメント:移植の予後予知に有用な指標を示した論文。

文献: .Bacigalupo A et al. Allogeneic hemopoietic SCT for patients with primary myelofibrosis: a predictive transplant score based on transfusion requirement, spleen size and donor type. Bone Marrow Transplant 2009 ;45:458-463
      2. www.celltherapytransplantation.com/isikaiPDF/519-3_519.pdf