EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。 |
今週のEBM,ナウ(289) -Treatment of childhood ALL- (予防的全脳照射なしでも良い?) 小児急性リンパ性白血病(ALL)の予防的全脳照射の話題。 全脳照射による後期合併症(二次がんや内分泌機能異常そして運動障害など)のリスクを避けたいというテーマ。 対象:2000年から2007年の間に化学療法施行の498名が対象。 予防的全脳照射を受けた56例(historical control群)と従来なら全脳照射適応例だが、今回照射しなかった71例とを寛解期間で比較した。 CNSに対する治療としてはlow-risk群では髄注を13~18回、standard-riskが16~25回そしてハイリスク群は造血細胞移植を選択肢として施行した。 結果:498例の年齢中央値は5.3歳。初回寛解達成率は98.8%、5年全生存率は93.5%、中枢神経系(CNS)のみへの5年再発率は2.7%。ALL再発は33例に、血液だけが21例、CNSのみが11例そして血液とCNSの両方で再発は4例。 1年間の維持療法後の5年完全寛解率は今回照射しなかった71例は90.88%(2例が骨髄再発、1例がCNSそして1例が寛解中に死亡)、historical control群のそれは73%(P=0.04)。 CNS再発の危険因子は以下の3項目。 1.T細胞、 2.染色体異常t(1;19) 3.診断時に髄液中に浸潤がある。 考察:予防的前脳照射なしでも生存率の向上が確認された。 ちなみに11例のCNS再発例は全例第二寛解を維持している。 上述の危険因子を参考に次の治療プロトコ-ルが進行中である。 コメント:成人と比較して小児白血病の予後の良さが驚きです。 文献: Pui CH et al. Treating childhood acute lymphoblastic leukemia without cranial irradiation. N Engl J Med 2009;360:2730-41 |