EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(273)

-EBMT activity survey 2007-
(欧州の動向2007年)

 欧州で2007年の移植総数は2万5563人。42カ国、613施設からの統計です。
 結果:A.同種移植が39%、自家移植61%です。
     B.疾患別では①悪性リンパ腫57%、
               ②白血病32%、
               ③固形がん6%、
               ④非悪性疾患5%です。
       悪性リンパ腫の80%は自家移植、白血病の89%は同種移植。
     C.同種移植の中でHLA一致血縁者間移植は47%、
                       非血縁者間移植も47%。
     D.同種移植の中で最も多い疾患は急性骨髄性白血病32%でした。
     E.細胞治療の新規試みとして、非血液疾患への移植があります。
       心臓病と神経疾患そして一部は組織修復の目的で移植が施行されています。

結論:非血縁者間移植例が増加したため、初めて、HLA一致血縁者間移植数と同数となった。 この統計では治療成績の報告は予定していない。 この疫学調査が症例相談の基礎情報または今後の移植医療の計画・方向性立案に役立つ資料として活用される事を期待。

コメント:欧州の動向から推定すると、日本でも悪性リンパ腫などへの移植件数が増加する可能性もある。 しかし、最近では抗体医薬のお陰で移植せずとも、悪性リンパ腫の生存率が改善されているのも事実。

文献:Gratwohl A et al. The EBMT activity survey 2007 with focus on allogeneic HSCT for AML and novel cellular therapies.  Bone Marrow Transplant. 2009;43:275-291.