EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(270)

-Donor-derived AML after allogeneic BMT-
(骨髄移植16年後のドナ-由来白血病)

 これは69歳、男性の興味ある症例報告です(letter to the editor)。 骨髄移植16年後にドナ-(姉)由来の急性骨髄性白血病と診断。 その機序はmultifactorialとしています。 T細胞の機能低下、骨髄微小環境の変化、そしてイマチニブのCD8陽性細胞への抑制などなどとどれも決め手にはなりませんが、今後のleukemogenesisを知る上で貴重な報告です。 以下に経過を略述。

  1991年   慢性骨髄性白血病(CML)に対して姉をドナ-として骨髄移植施行
  1996年   CML再発、インタ-フェロン治療開始
  2002年   CML-AP(移行期) イマチニブ開始
  2003年   CML-CP(慢性期)
  2005年   分子遺伝学的寛解達成、ドナ-リンパ球輸注追加
  2007年   急性骨髄性白血病と診断、ドナ-タイプ
          染色体解析:45,XX.t(3;6),-7{6}、45,XX,t(3;6)-7,dup(21){14}

結論:骨髄移植後の再発に対して投与したイマチニブの関与も疑われているが機序不明。

コメント:これまでのドナ-由来白血病の報告同様、ドナ-は現時点で白血病を発病せず健康。

文献:Ditschkowski M et al. Occurrence of AML in cells of donor origin after treatment of CML in relapse with imatinib and donor stem cell boost 16years after the original allogeneic BMT
.Bone Marrow Transplant. 2009 advance online publication.