EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(269)

-Second cancers after allogeneic HCT-
(造血細胞移植後の2次がん-28874例の追跡)

 造血細胞移植後発ガンのリスクは、
 1.全身放射線照射
 2.男性
 3.慢性GVHD
 4.免疫抑制剤の長期投与
など知られています。
しかし、それらはいずれも20-50例という小規模のがん報告例です。 今回、約30年間に施行された234の移植施設からの合計28874例の移植後追跡調査です。
 1年未満の観察例が28874例、
 1年から4年が15170例、
 5年から9年の生存例が6641例、
 10年以上は1985例、
 15年以上は387例。
結果:189例のがん発病を認めました。

 全体でがん頻度は一般人の約2倍。 それが移植後15年目からは3倍。 移植前処置に放射線照射を用いると、発がんリスクは放射線照射のない例と比較して1.8倍です。 非扁平上皮がんに限定すれば、30歳以下では照射群の発がんリスクは非照射群のおよそ9倍。下図は発がん累積頻度。



結論:移植後長期になると発がんリスクが増えることから、かかりつけ医の役割が重要。

コメント:高齢者も移植適応となってきているため、新たなリスク因子解析が必要。

文献:Rizzo JD et al. Solid cancers after allogeneic hematopoietic cell transplantation. Blood. 2009;113:1175-1183