EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(261)

-Donor vs no donor analysis of MM-

(アメリカ血液学会抄録から:HLA一致ドナ-の有無による比較)

 多発性骨髄腫(MM)の生存率は50%を越えず、治癒が見込まれる治療戦略の開発が急務です。
 今回紹介する学会抄録は
     自家移植とその後の維持療法(no donor、従来の方法)
 
 対 自家移植後に続けてミニ移植を施行(兄弟donorあり、新規の治療法)
 という比較です。
 ミニ移植前処置はlow dose TBI単独。 HLA一致兄弟ドナ-のいない群(no donor、従来の方法)とドナ-のいる群(兄弟donorあり、新規の治療法)との間で生存期間を検討した。 その患者背景や自家移植後の寛解状態に差はない。



2群を38ヵ月間追跡の結果、上に示す表の様にPFS(progression free survival)中央値はno donor vs donorで 28ヵ月 vs 32ヵ月。 全生存期間の中央値は同様に54ヵ月 vs 61ヵ月。 2群間に差なし。 ミニ移植98例の1年非再発死亡率(NRM)は10%と低い。

結論:長期の追跡が必要であるが、現時点ではdonorがいる新規治療法に優位性はない。

コメント:追跡期間中央値が5年経過後の続報に期待。

文献:Lokhorst H.et al. Donor versus no donor analysis of newly diagnosed myeloma patients included in the HOVON 50/54 study. Abstract #461 appears in Blood. volume112: 2008.