EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(248)

-Autologous SCT for multiple myeloma-
(多発性骨髄腫への自家移植)

 多発性骨髄腫に対する自家移植成績。
 インドからの報告。
 1990年から2007年の間、108例の自家移植例の年齢中央値は52歳 (range:26歳から68歳)。

予後に影響を与える因子は以下のとおり。なお、bortezomib投与例はない。

1.移植前化学療法の有効性と移植後寛解:化学療法への反応良好症例は66例で、その50%が移植後に完全寛解を達成。他方、治療無効は42例でその14%が寛解達成。

2.生存期間:全生存期間の中央値は71ヵ月、EFS(event free survival)は42ヵ月。

3.多変量解析:ヘモグロビン低値(8.5g/dL)、アルブミン低値(3.3g/dL)そして移植前非寛解例の3項目が予後不良の危険因子。

4.診断から移植までの期間:12ヵ月以内の移植によりEFS中央値が有意に長い(下図)。



結論:移植成績に有利な因子は1.移植前化学療法への反応性がある症例、2.移植後完全寛解が得られた症例。

コメント:Bortezomib治療が今後の課題。EBM249で紹介します。

文献1: Kumar L et al. High-dose chemotherapy with autologous stem cell transplantation for multiple myeloma: what predicts the outcome? Experience from a developing country.  Bone Marrow Transplant 2009;43:481-489.