EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(241)

-Nationwide survey of MDS with chromosome 5 abnormality-
(日本のMDS、5番染色体異常)

 この報告は5番染色体異常を示す骨髄異形成症候群(MDS)の日本における統計です。
 -5
:monosomy 5が52例、
 del5q:5番染色体長腕欠失が110例
 そして5q-症候群(定義は大球性赤血球、del5q単独異常そして骨髄中の芽球が5%以下)が21例の
 合計183例です。
 年齢中央値は69歳。
 男女比は113例と70例です。
 輸血の影響を除外後、白血病へ進展する危険因子を多変量解析にて検討しました。
 有意差を次の3項目で認めました。
  ①好中球減少1800/μl以下
  ②血小板減少10万/μl以下、
  ③7番染色体異常を伴うものまたは複数の染色体異常の合併例。
 なお、WHOによる予後予測方法(WPSS)はIPSSのそれよりも明らかに有用でした。
 以下の図に5番染色体異常を認めない375例のMDSをコントロ-ル群として生存期間中央値日数を示しました。



結論:MDSでは複数の染色体異常があると予後不良です。

コメント:EBM86では5番染色体長腕欠失を有する骨髄異形成症候群にはlenalidomide投与が有効と紹介されています。


文献:Tasaka T et al. Myelodysplastic syndromes with chromosome 5 abnormalities: a nationwide survey in Japan. Leukemia  2008;22:1874-1881.