EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(220)

-Patterns of mortality after G-CSF-
(G-CSF使用後の死亡率)

 G-CSF使用例の予後・二次がん頻度などを長期観察後、解析しました。
 1989年から1991年の80例。
 対象は16歳から71歳の高悪性度リンパ腫。
  41例はG-CSFを化学療法後に使用、
  39例は化学療法のみ。 治療詳細は省略。
 36名の生存者追跡期間の中央値は15.7年。
  10年全生存率はG-CSF投与群と非投与群で51% vs 46%。
  無病生存率(原病の進行またはいかなる死亡原因でも死亡とする)は49% vs44%です。
  無病進行生存率(FFP; Free from progression, 原病の進行のみを死亡とする)はG-CSF投与群と非投与群で68% vs 47%と有意差を認めました。
 下表のように原病以外の死亡では心血管系の死亡(心疾患5例、脳血管障害1例)がG-CSF群に多い傾向があります。



コメント:国内でも追試が必要です。2次がんや心臓合併症の増加はG-CSF併用による抗がん剤の使用量増と関連するのか?大規模・長期観察による検討が望まれます。

文献:Clamp AR et al. Patterns of mortality after prolonged follow-up of a randomized controlled trial using granulocyte colony-stimulating factor to maintain chemotherapy dose intensity in non-Hodgkin’s lymphoma. Br J Cancer 2008;99: 253-258