EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(217)

-Chimerism patterns in allogeneic HSCT-
(悪性リンパ腫、ミニ移植後のキメリズム解析)

 進行期悪性リンパ腫へのミニ移植後の寛解率と無病進行生存率(PFS;progression free survival)をキメリズムの達成時期で2群に分けて解析しました。 各群13例。 ミニ移植後45日以内の完全キメリズム達成群を”early”、それ以後を”late”としました。 移植後35日でキメリズムを達成出来ていなければ予防的DLI(ドナ-リンパ球輸注)を施行。 その結果、5年PFSは”early”群で8%、それ以後の”late”群が38%でしたが、有意差はありません(P=0.08)。



寛解率は”late”群が62%ですが、これも2群間に有意差はありません(P=0.12)。以上からGVT(graft versus tumor)効果を示しやすい傾向があるのは混合キメラ状態のため、予防的DLIを多数例が受けた”late”群でした。

コメント:2群間における臨床成績の差はDLI効果の可能性があります。

文献1:Ting DT et al. Clinical outcomes of late rather than early full-donor chimerism in patients with advanced lymphomas receiving nonmyeloablative allogeneic hematopoietic SCT. Bone Marrow Transplant 2008; advance online publication.