今週のEBM,ナウ(207)
-RIC for osteopetrosis-
(大理石病へのミニ移植)
大理石病(osteopetrosis)は破骨細胞(osteoclast)の機能異常とされています。 その予後が不良であることから造血細胞移植の適応があります。 そこで、ミニ移植による治療(骨髄非破壊的前処置)を11名に施行し、移植後合併症と生存率について検討しました。
対象:年齢の中央値は1歳。生着は6例(55%)。さい帯血を用いた5例は初回移植にて全例が生着しませんでした。 末梢血または骨髄液で移植した6例の生存率は80%。
今回のミニ移植では移植関連合併症としての死亡(TRM)は9%と従来の移植方法よりも低い結果でした。 11例の1年全生存率は55%です。 さい帯血を用いた移植成績が予想以上に不良ですが、その機序は不明。 Osteopetriosisという造血環境がさい帯血を使用した場合の生着に何らかの影響を及ぼしている可能性が推測されます。
コメント:移植関連死亡率は低下するも、さい帯血移植による生着不全の原因究明が急務。
文献1:Tolar J et al. Engraftment and survival following hematopoietic stem
cell transplantation for osteopetrosis using a reduced intensity conditioning
regimen. Bone Marrow Transplant. 2006; 38:783-787 |