EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(190)

Graft versus ATL effect
(成人T細胞白血病への同種造血細胞移植)

 成人T細胞白血病(ATL)への同種造血細胞移植の成績。 移植が免疫療法であるとの見地からGVL効果(graft versus leukemia)が提唱されています。 
 この報告は難治性とされているATLに対するG-v-ATL効果を同種移植21例で解析したもの。 対象は男性13名、女性8名。
 年齢の中央値は49歳。
 移植方法は
   従来の骨髄破壊的前処置による移植方法が10例、
   骨髄非破壊的前処置によるミニ移植が11例。
 100日以上生存した15例中、10例がATLを再発。再発部位は皮膚9例、リンパ節腫大4例、そして末梢血が4例(下図)。



再発確認後に10例全例で投与中の免疫抑制剤を中止し、GVHDを誘導しました。 8例にGVHDが誘導され6例は再発病変が消失しました。 3年予想全生存率は33%。

コメント:ATLでは移植後にG-v-ATL(抗ATL)効果が期待できる。

文献:Yonekura K et al.  Graft-versus-adult T-cell leukemia/lymphoma effect following allogeneic hematopoietic stem cell transplantation. Bone Marrow Transplant  2008;advance online publication