EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今月のEBM,ナウ(18)

ミニ移植のすすめ---危険因子解析

 統計解析により、安全な移植のための条件が明らかになりました。国内の50歳代の造血移植成績を統計解析したものが移植専門雑誌に報告されました(文献1)。対象はミニ移植(RIST:reduced intensity stem cell transplantation)を受けた造血器悪性腫瘍疾患70例と従来の移植(CST:conventional stem cell transplantation)を受けた137例。この207例の臨床像から危険な移植の条件(有意差があるもの)を以下のように結論しています。

1.従来の移植方法(CST)による前処置で行う移植
2.PS(2-4)
3.基礎疾患が慢性骨髄性白血病(CML)以外
4.移植時期が初回寛解でない−進行期
5.急性GVHD(移植片対宿主病)2度から4度を合併。


 つまり、ミニ移植(RIST)の方法で移植し、PS(performance status)が0-1と良い症例で、慢性骨髄性白血病で、かつ初回寛解期にあり、移植のGVHDが0-1度なら、生存率が高いとの統計結果が出ました。50-59歳の移植を考慮するときには有用な指標です。



文献1.Kojima R et al. Comparison between reduced intensity and conventional myeloablative allogeneic stem-cell transplantation in patients with hematologic malignancies aged between 50 and 59 years.  Bone Marrow Transplant 2005.36:667-674.