EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今月のEBM,ナウ(17)

悪性リンパ腫へのGVL効果?
Graft-versus-Lymphoma effect

Graft-versus-lymphoma effectの存在は(文献1)1991年に初めて報告されました。図1.は同種移植(Allo)と自家移植(Auto)の治療成績比較です。118例の解析で、移植前に化学療法がまったく無効であった38例の生存率は0%(赤字)。移植前に化学療法への反応性があった80例で再発率は明らかに、自家移植(Auto;46%)よりも同種移植の方(Allo;18%)が低く、それは移植細胞の違いによるものと判断されます。これが移植の抗リンパ腫効果-GVL-と考えられます。しかし、図1の右のようにEFS%に差が認められず、この治療法の優劣は不明です。この、背景には同種移植の危険性が潜んでいる事が図2.に示されました。つまり、移植関連死亡が同種移植の38例では47%と高く、これが、EFS(生存率)を下げています。14年前に主張されたGVL効果(文献1)がやっと、ミニ移植報告例を通して文献2などで認められるようになりました。



結論:悪性リンパ腫へのGVL効果は14年前から報告されている。

文献1 Jones RJ et al. Evidence of a graft-versus-lymphoma effects associated with allogeneic bone marrow transplantation. Blood. 1991; 77:649-653.Butcher BW and Collins RH The graft-versus-lymphoma effect: clinical review and future opportunities. Bone Marrow Tranaplant. 2005; 36:1-17