EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。 |
今週のEBM,ナウ(179) Preemptive therapy against HHV-6 encephalopathy (HHV-6脳炎対策) Human herpes virus 6 (HHV-6)は同種移植後の発疹、血小板生着の遅延そして致死的脳炎を引き起こすウイルスです。 HHV-6感染症は世界中で見られ、突発性発疹の原因ウイルスとしても有名です。 移植後毎週、血漿中のHHV-6ウイルスコピ-数を測定し、1万コピ-以上に増加した症例にpreemptive therapyとしてganciclovirを投与しました。 29例の同種造血細胞移植例が対象です。 血漿HHV-6の陽性化は65%の症例に見られ、その時期は移植後19日目(中央値)。 HHV-6量が1万コピ-以上となった9例中、2例がHHV-6脳炎を合併しました。 その2例のHHV-6ウイルス量の変化をみると、1週以内に急激な増加を示しており、週に1回の検査では、脳炎の発症を予知・予防出来ず、preemptive therapyは無効と思われました。 この2症例の基礎疾患はATL(成人T細胞白血病)であることから、免疫能低下が著しいこともHHV-6脳炎予防が困難な可能性があります。 コメント:HHV-6脳炎への早急な治療戦略が望まれます。 文献:Ogata M et al. Plasma HHV-6 viral load-guided preemptive therapy against HHV-6 encephalopathy after allogeneic stem cell transplantation: a prospective evaluation. Bone Marrow Transplant 2008;41: 279-285. |