EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(160)

Factors predicting long term survival after RIC HSCT in AML
(2007 アメリカ血液学会抄録引用)

 RIC(骨髄非破壊的前処置;ミニ移植)はハイリスク(進行期)・高齢者・化学療法の難治例にとって大切な治療選択肢です。 しかし、その役割は不確かです。 なぜなら、長期予後に関しての報告が少ないからです。 ここに示すのはRICを用いて造血細胞移植した170例のAML(急性骨髄性白血病、CR1;初回寛解期88例、CR2/3;第2/3寛解期63例、難治例19例)の結果です。 年齢の中央値は54歳。 83例は血縁ドナ-、87例は非血縁ドナ-から移植しました。

   結果:急性GVHD頻度は29%で、慢性GVHD頻度は22%です。
    Day100での移植関連死亡は9%。3年全生存率は48%、その無病生存率は45%。
  移植前の患者背景から単変量解析で有意差を認めたのは以下の3項目。
     ①  3年生存率がCR1で51%、CR2で52%、再発・難治例では13%。
     ②  60歳未満の3年生存率は51%、60歳以上は36%。
     ③  染色体結果が中間予後群では3年生存率52%、予後不良群34%。
           結論:移植前の患者背景から移植予後を推定できます。

コメント:高齢者におけるRICの移植治療効果は有望と思われます。
     国内からの同様の報告はEBM79を参照ください。

文献:Craddock CF et al. Factors predicting long term survival after reduced intensity allogeneic stem cell transplantation in acute myeloid leukemia. Abstract #326 appears in Blood; volume110,issue 11,November 16  2007