EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今月のEBM,ナウ(15)

移植後、日常生活の制限は?

{文献要約}21歳までに造血幹細胞移植を受けた235人の日常生活へのその後の影響調査。文献上、初めての報告。造血器悪性腫瘍に対して造血細胞移植を受け、2年以上生存している235名。比較のため、年齢などマッチさせた集団471人にも24ペ−ジの質問票を送付。症例の背景は男性55.7%、移植時年齢が0-9歳は50.3%、白血病例が62.6%、同種移植が75.3%、骨髄を用いた移植が89.4%、移植前処置がTBI(放射線照射)を含む例が74.9%そして慢性移植片対宿主病(GVHD)合併例が19.6%です。移植時の平均年齢は10.7歳。平均観察期間は11.7年。調査時点で小児例ではTBI群と10年以上経過した例の活動力が低下し、成人到達例では対象群と比べて統計処理すると体力的な制限が22.1倍、情緒面の障害は17.1倍。図1に改変した文献内容を紹介します。




結論:多くの移植後症例は日常生活ができている。しかし、健康対象群と比較すると、体力面に制限を感じたり、婚姻率が低下するなどの影響がある。

文献:Ness KK. et al. Performance limitations and participation restrictions among childhood cancer survivors treated with hematopoietic stem cell transplantation. Arch Pediatr Adolesc Med. 2005;159:706-713