EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(154)

Late mortality and functional status after HCT
(同種移植から2年以降の解析)

   対象は1975年から1999年までに同種造血細胞移植をうけ、2年以上生存した1479例。  基礎疾患は先天性代謝異常、再生不良性貧血そして造血器悪性腫瘍です。 観察中央値は9.5年。 年齢の中央値は25.9歳(0.2歳から71.5歳)。

結果:2003年6月で、全移植例の生存率は21.6%です。2年以上生存した1479例の15年予想生存率は80.2%です。 死亡原因で多いのは再発の29%と慢性移植片対宿主病(GVHD)22%でした。 また、19%の方は健康上の理由により完全な社会復帰が出来ていません。 社会機能的項目として、婚姻状態、就職率そして保険加入率をドナ-を対象群として統計処理したところ、いずれも有意差を認めました。

考察:移植2年経過後の死亡率は一般人と比較して高い事が明らかになりました。

コメント:移植治療は救命だけでなく、社会復帰後の生活の質(QOL)が重要。 移植前にレシピエントに知らせておきたい情報です。

文献:Bhatia S et al. Late mortality after allogeneic hematopoietic cell transplantation and functional status of long-term survivors: report from the Bone Marrow Transplant Survivor Study. Blood.  2007; 110: 3784-3792.