EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(140)

Relapse risk after RIC
(ミニ移植後の再発のリスク因子)

 1997年から2006年までの連続834例のミニ移植例(年齢の中央値は55歳、年齢は5歳から74歳)の再発リスクを移植前の症例背景をもとに3群に分類しています。 29以上の疾患および病態があるため、補正し3群に分けました。 後方視的解析です。移植後2年以内に37.4%(312例)が再発しています。 Relapse rate per patient year (PY) が全体で0.36でした。 もっとも再発(PY)が多かった群(29%の症例)は進行期の骨髄性またはリンパ系悪性疾患で、0.52以上でした。 逆にもっとも低かったのは(24%の症例)慢性リンパ性白血病、寛解期の多発性骨髄腫、低悪性度およびマントル悪性リンパ腫そして高悪性度悪性リンパ腫の寛解期例で、PYは0.00から0.24でした。 リンパ系の非寛解の悪性腫瘍や寛解期の骨髄系腫瘍は0.26から0.37でした(47%の症例)。

コメント:ミニ移植の臨床効果が高いのはリンパ系悪性腫瘍という解析結果。今後の移植適応の判断のよりどころとなることを期待したい。

文献:Kahl C et al. Relapse risk in patients with malignant diseases given hematopoietic cell transplantation after nonmyeloablative conditioning.  Blood 2007;110:2744-2748.