EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(126)

TAM after allogeneic SCT
(同種移植後のtransplant-associated microangiopathy)


  従来のTMAがTAMと呼称されるようになりました。以下、文献紹介します。
 移植後の重篤な合併症である移植関連微少血管症?(TAM)は高度の血小板減少と血管障害性溶血さらに高頻度に合併する腎障害、神経症状が特徴とされる病態です(文献1)。MD Anderson cancer center単独施設における1998年から2004年までに施行された同種移植1219例のTAM累積発病頻度は5.4%でした。GVHD予防法は全例にタクロリムスを使用しています。TAM発症の危険因子として1.女性、2.リンパ系悪性腫瘍、3.HLA一致骨髄バンクドナ-、4.急性GVHD(Ⅱ-Ⅳ)でした。

以下に2007年に報告されたTAM診断基準を示します(文献2)。
  1.破砕赤血球が末梢血に>4%
  2.新規、遷延するまたは進行性の血小板減少症(5万未満、前値の50%以下への減少)
  3.LDHの急激なまたは進行性の増加
  4.ヘモグロビンの低下または輸血頻度の増加
  5.血清ハプトグロビン減少。
 以上をすべて満たすこと。

文献1.Oran B et al. Transplant-associated microangiopathy in patients receiving tacrolimus following allogeneic stem cell transplantation: risk factors and response to treatment. Biol Blood Marrow transplant. 2007 ;13 :469-477.
   2.Ruutu T et al. Diagnostic criteria for hematopoietic stem cell transplant-associated microangiopathy: results of a consensus process by an International Working Group. Haematologica. 2007 ;92 :95-100.