EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(119)

さい帯血移植に関する話題-学会奨励賞

 第29回日本造血細胞移植学会総会の学会奨励賞としてさい帯血移植の話題が3題ありました。以下に紹介します。

① 同種移植後の生着不全例の再移植として臍帯血移植を選択(文献1)
② 臍帯血移植におけるGVHD予防法(文献2)
③ 臍帯血移植後に生じる非感染性移植後肺合併症の特徴(文献3)


結果:①アンケ-ト調査報告。再移植後の生着率が72%で、臍帯血ミニ移植の有効性が確認されました。②77例の解析。MTX併用のGVHD予防法によりGVHD(ⅡからⅣ)頻度が23%、全生存率は59%(MTX併用なし群では19%)と良好。③臍帯血移植222例中、53例(23%)に非感染性移植後肺合併症がみられ、ARDS/DAHが14%、胸水貯留が5.9%そしてIPが3.6%の順。

コメント:3題とも後方視的解析である。②の演者が抄録で述べているように今後の臨床研究としては前方視的研究が必要。

文献 1.大原 房子 他 同種移植後生着不全に対する臍帯血ミニ移植(RICBT)救援療法~全国アンケ-ト調査63例の解析(学会報告時は80例)。WS1-8、第29回日本造血細胞移植学会総会抄録集 154ペ-ジ。福岡、2007年2月16日。
2.河野 彰夫 他 臍帯血移植におけるGVHD予防法。WS1-2、第29回日本造血細胞移植学会総会抄録集 153ペ-ジ。福岡、2007年2月16日。
3.和気 敦 他 臍帯血移植後に生じる非感染性移植後肺合併症の特徴。WS13-6、第29回日本造血細胞移植学会総会抄録集 222ペ-ジ。福岡、2007年2月17日。