EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(117)

Chronic kidney disease after HCT
(造血細胞移植後の慢性腎疾患)

 造血細胞移植後の慢性腎疾患頻度とその危険因子。シアトルからの報告。

 対象例:年齢の中央値は38.5歳。ドナ-はHLA一致の同胞兄弟が40%、HLA一致の非血縁ドナ-が34%、95%は骨髄破壊的前処置による移植を受け、TBI(放射線照射)を58%が受けています。

 慢性腎疾患(Chronic kidney disease;CKD):1635例中、376例(23%)がCKDを合併しました。発病の中央値は移植後191日です。
 CKDの危険因子:多変量解析では成人・女性が有意な危険因子でした。TBIの有無は危険因子ではありません。移植後100日以内の合併症に限定して解析すると以下の3項目がCKDの危険因子です。①GVHD、②急性腎不全 ③骨髄非破壊的前処置による移植

コメント:腎臓はGVHDの標的臓器で、恐らく、高齢者に多く用いられたであろう骨髄非破壊的前処置での移植もCKDの一因である事が明らかにされました。

文献 Hingorani S. et al. Chronic kidney disease in long-term survivors of hematopoietic cell transplant. Bone Marrow Transplant 2007; 39: 23-229.