今週のEBM,ナウ(114)
Unrelated donor BMT for Fanconi anemia
(ファンコニ貧血への非血縁者からの移植成績)
骨髄移植はFanconi貧血の唯一の治療法とされる。Fanconi貧血は年齢の中央値7歳で血液異常をきたし、40歳までに、90%が骨髄機能不全となる。しかし、2000年報告の非血縁者からの骨髄移植治療成績は3年生存率が33%と低い。拒絶・移植関連の死亡が死亡原因の大きな要因とされている。今回、新たに、非血縁者からの骨髄移植98例の成績から予後因子の解析を行った。早期死亡例は10歳までに移植した群で32.4%、(12/37例)、10歳以後では52.5%、(31/59例)と多く。多変量解析にて有意差を認めた(文献、Table4)。フルダラビンを用いた移植前処置群がフルダラビンを用いない前処置群よりも全死亡率では低く(下図)、赤血球輸血が20単位未満の群がそれ以上の群よりも同様に低く、そしてサイトメガロウイルス抗体価陰性群が陽性群よりも死亡率が低かった(文献、Table5)。下図(文献
Fig 2)は赤血球輸血量を調整し、前処置にフルダラビンを使用した群と使用しなかった2群間の生存曲線を示す。フルダラビンによる前処置群の生存率は52%であった。(Wagner,
J. E. et al. Blood 2007;109:2256-2262)
結論:移植前処置にフルダラビンを使用し、10歳までに移植し、赤血球輸血は20単位以下であれば予後良好である。
コメント:輸血単位数が過剰になる前に移植専門医へ相談することが推奨される。
文献:Wagner JE et al. Unrelated donor bone marrow transplantation for the
treatment of Fanconi anemia. Blood 2007; 109:2256-2262. |