EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(108)

Diabetes and hypertension in HCT survivors
(造血細胞移植後の長期生存例における糖尿病と高血圧頻度)

  移植を受け、2年以上経過した後期合併症の報告。1974年から1998年までの間に移植を受け生存し、免疫抑制剤を服用していない1089名症例を抽出し、255項目の自己申告に基づいて統計処理した。血縁ドナ-383名を比較の対象とした。平均年齢は移植例が39.3歳。兄弟ドナ-が38.6歳。観察期間は平均8.6年。BMI(Body mass index)などを調整して糖尿病罹患頻度を計算すると移植例はドナ-よりも3.65倍糖尿病を合併しやすく、高血圧となりやすいのは2.06倍であった。下図には文献 Table3から糖尿病と高血圧そして肥満の頻度を移植後生存者とドナ-の2群に分けて表示した。



コメント:これまでは移植を受けるまでの話題が多かったが、これからはこのように、血液疾患克服後の移植後の社会生活にかかわる問題が評価されることが必要。

文献:Baker KS et al. Diabetes, hypertension, and cardiovascular events in survivors of hematopoietic cell transplantation: a report from the bone marrow transplantation survivor study. Blood 2007;109:1765-1772.