EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今月のEBM,ナウ(9)

ミニ移植は外来で?
外来で行う造血細胞移植とは?


{文献要約}造血細胞移植の最大の欠点は移植関連毒性のため、死亡率が高い事です。したがって、年齢50歳以上は生存率を下げる因子である事が知られています。今回の報告は、通常の移植から適応を外れた年齢中央値56歳の45症例(図B)に対して、安全にミニ移植が施行可能であった事を証明した2001年の報告です。対象疾患は造血器悪性腫瘍です。HLA一致の血縁同胞がいるが、従来の移植の適応ではない症例のみです。移植結果では20%の拒絶率が最大の問題点でした(図C)。しかし、生着した症例では53%が寛解を維持(図D)、さらに急性GVHD(2度から4度)合併例は47%。移植関連死亡率は6.7%と極めて低く、再発関連死亡は26.7%でした。そして、53%の症例が移植を入院ではなく、外来にて行いました(図A)。

結論:ミニ移植は、従来の大量抗ガン剤による移植から脱皮できる方法。



文献:McSweeney PA et al. Hematopoietic cell transplantation in older patients
with hematologic malignancies: replacing high-dose cytotoxic therapy with graft-versus-tumor effects. Blood 2001; 97:3390-3400.