今月のEBM,ナウ(2)
さい帯血移植
(文献N Engl J Med 2004;351:2276-85)
HLA (Human leukocyte antigen)の型が一致するのは同胞間で約30%です。この事が造血細胞移植の妨げの一つです。そこで、非血縁ドナ−が必要とされています。
{文献要約}成人急性白血病への非血縁ドナ−からの移植細胞源をさい帯血と骨髄からとの2群で比較した欧州からの報告。1998年から2002年の間に欧州移植グル−プで移植を受けた急性白血病682名。98名がさい帯血、584名が骨髄移植を受けた。HLA一致度は骨髄で100%、さい帯血では94%がHLA不一致。移植時に基礎疾患が進行期であるのは骨髄で33%、さい帯血では52%、同様に移植時年齢は32歳と24.5歳。以上の患者背景はすべて統計学的に有意差あり。移植後の多変量解析によると、さい帯血移植ではGVHD(Graft
versus host disease)のリスクは低いが、好中球の回復は明らかに遅延する。慢性GVHD、移植関連死亡、生存率は2群間で差は認めない
(表1:全生存率と無病生存率)。
図1には日本さい帯血バンクで保存された25mlのさい帯血を示す。
結論:急性白血病でHLA一致の骨髄バンクドナ−がいない時、さい帯血は代替え移植細胞源として有用である。
表1.生存率比較 (文献から改変、有意差なし)
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骨髄移植 |
さい帯血移植 |
生存率 |
42% |
36% |
無病生存 |
38% |
33% |
図1
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